大阪府立図書館職員として採用されて
杉田 正幸

今年(2000年)大阪府立図書館職員として採用された私は、4月から府立中央図書館司書部閲覧第三課対面朗読室で働いております。都道府県立図書館で働く全盲の司書は東京、埼玉、千葉にいますが、西日本では初めてで、多くの人から期待の声をいただきました。

筑波技術短期大学在学中に近畿大学の通信教育で図書館司書の資格を取得しました。就職活動では、地元の埼玉県内の市立図書館を中心に、関東地方の公共図書館に対しての点字受験を求めてきましたが、1年目は思うような結果を出すことができませんでした。国立国会図書館の点字受験拒否、各自治体に対しての嘆願書も、ほとんどが「視覚障害者を採用するだけの環境が整っていない」との解答でした。

2年目には宮城県の身体障害者特別枠採用試験と、大阪府立図書館の司書の採用試験に合格することができました。いろいろと悩みましたが、公共図書館で働くことが夢でしたので、大阪府に就職することを決意しました。

大阪府立中央図書館は1996年5月10日、大阪府東大阪市に開館した、比較的新しい図書館です。1974年に開館した夕陽丘図書館での対面朗読サービスを引き継ぎ、府立での唯一の障害者サービス館となっています。

現在、私は図書館の1階にある視覚障害者へのサービスをしている対面朗読室に配属されています。対面朗読室は私を含め職員4人が、専任職員として配置されています。対面朗読室7室、録音室1室、そして対面朗読事務室から構成されています。

私の業務は、対面朗読利用者とボランティアの日程調整、点字図書・録音図書の所蔵調査と借受貸出、墨字図書新刊案内の作成、レファレンス、視覚障害利用者へのパソコン利用サポート等です。

図書館には私が採用され、業務用の音声パソコン(ノートパソコン)を導入していただきました。周辺機器としては、スキャナー、点字ピンディスプレイ、ソフトとしては、95ReaderやPC-Talker、OutSpokenなどの音声化ソフト、「ヨメール」や「よみとも」などのOCRソフトなども導入していただきました。ほとんどの事務的処理はこれらパソコンシステムを活用して行っています。

また、視覚障害のある図書館利用者が使えるパソコンシステムも導入していただきました。OCRや点訳ソフトの利用、パソコン通信を使っての府立図書館の蔵書検索、インターネットを利用した各種コンテンツへのアクセスなどを、視覚障害者がいつでもできるようにしています。視覚障害利用者にパソコンの操作指導をすることも、私の大きな仕事の一つです。

今、私の新たな仕事としてDAISY図書の作成があります。DAISY図書の編集には点字ピンディスプレイを用いて、ほとんど一人で行っています。視覚障害者サービスの中心は、近いうちにDAISYに移行されるでしょう。

府立図書館は公共図書館として課題も多くあります。利用者の声をできるかぎり館の業務として生かせるよう、今後がんばって行きたいと思います。

以上、杉田正幸.職場レポート:大阪府立図書館職員として採用されて.雇用連情報.No.47, p.10 (2001)より



Copyright(C)2004 杉田 正幸(Masayuki Sugita)
最終更新日:2004年7月30日