《私の就職希望ノート》

-公共図書館での採用を求めて-

筑波技術短期大学視覚部情報処理学科3年 杉田正幸

1974年に東京都立中央図書館が始めて視覚障害者を採用して24年、現在公共図書館で障害者サービスに関わっている視覚障害者は17人である。

私は、筑波技術短大で情報処理の勉強をしながら近畿大の通信教育で図書館支所科目を履修している。昨年の夏に2週間、つくば市立中央図書館で公共図書館実習(みんなの図書館 NO.252 P.38-43 1998参照)を行い、公共図書館での系統的なサービスを学び、市立レベルでの公共図書館への就職を目指すことを決意した。

幸いにも、なごや会(公共図書館で働く視覚障害職員の会)などを通じて東京都立中央図書館の田中さんをはじめ、多くの人の協力で就職活動を行っている。個人的には埼玉県・東京都・千葉県の市立レベルの図書館に対して下記の3項目を求める嘆願書を図書館長宛・市長宛に提出した。

  1. 市立図書館における障害者サービスのより一層の充実を図るために、視覚障害者を図書館司書として採用してください。
  2. 市立図書館採用に視覚障害者別枠採用試験の実施を行い、点字試験を行ってください。
  3. 一般の図書館職員採用試験にも点字受験を認めてください。

全国の公共図書館では対面朗読・音訳サービス・点訳サービス・拡大写本サービス・字幕入りビデオサービス・病院サービスなどの障害者サービスを実施している。「日本の図書館1996年」の障害者サービス項目の調査によると、全国の市区立系公共図書館662館のうち障害者サービスを行っているのは338館(57.9%)、そのうち点字図書92館、録音図書178館、対面朗読170館である。視覚障害者職員はこれらの業務の中心的な存在となっている。視覚障害者が採用されている図書館はそうでない図書館に比べ障害者サービスが進んでいる。特に、点訳・音訳・対面朗読サービスはこれらの職員が中心的に行われている。今後、障害者サービスのさらなる発展は視覚障害者の採用が必要であると感じる。

現在、図書館司書採用をしている自治体の中で点字受験を認めている自治体は横浜市・大阪府などのごく一部で、認められている自治体でも晴眼者とほぼ同じ条件での受験である。従って、数百倍の合格率の中、視覚障害者が合格するのはほぼ不可能であり、今後の就職活動には困難を極めて行くと思う。今後多くの採用試験に視覚障害者の受験、視覚障害者別枠採用精度などを検討していただけるよう多くの視覚障害者団体からも働きかけていただけることを期待したい。


杉田正幸.私の就職希望ノート:公共図書館での採用を求めて.点字ジャーナル.No.337, p.46-47 (1998)



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最終更新日:2004年7月30日