図書館の利用に障害のある人とは
2017年11月24日(金曜日) 13時00分から14時30分
日本図書館協会障害者サービス委員会関西小委員会委員長
大阪府立中央図書館職員
杉田正幸
他の資料
資料6の「視覚障害者ガイド研修」の「4. 関連ホームページ」で紹介しているホームページ
1. 障害者の概要
障害者手帳所持者 479.2万人
身体障害者手帳所持者 386.4万人 前回※1(平成18年)357.6万人
療育手帳所持者 62.2万人 前回※1(平成17年) 41.9万人
精神障害者保健福祉手帳所持者 56.8万人 前回は調査せず
障害者手帳非所持者で、自立支援給付等を受けている者※2 32.0万人 前回は調査せず
1-3 山口県障害者支援課
①山口県 障害者支援課
②「山口県 合理的配慮」の実践・普及のための応募事例を公表します
③山口県 障害者に対する情報保障配慮マニュアル
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定され、平成28年4月1日から施行。
2-1 不当な差別的取扱いの禁止→民間事業者を含むすべてに求めている
①障害を理由にサービスの提供を拒否すること
②障害者でない者に対しては付さない条件を付けること
2-2 社会的障壁を除去するための「合理的配慮の提供」(義務)
(1)合理的配慮とは
①個々の依頼を受けて、図書館の利用を保障する活動・支援・工夫・ルールの変更
②個々に合理的配慮ができるかどうか、またはその代替え方法を検討・判断する
→利用者と図書館の状況により判断
③過度な負担でないこと
④同じ合理的配慮が長期的にある・回数がある→基礎的環境整備として整える
⑤職員が個人で考えるのではなく、図書館として組織で対応する
(2)過度な負担の考え方
①やらない理由を探すのではなく、どうしたらできるかを考える
②同じ負担が度重なると過度な負担になる→職員個人の責任にしない
2-3 基礎的環境整備(努力義務)
①障害者を含む利用者が利用できるようにサービス・システムを構築する
②施設設備だけではない→サービスや資料が重要
③現状ですぐにでもできることから始めて、計画的に整備を進めていく
④障害者と協力して内容を修正していく
3. 障害者サービスの定義と目的
定義「図書館利用に障害のある人々へのサービス」
目的「すべての人にすべての図書館サービス・資料を提供すること」
障害者サービスは図書館のすべてのサービスの基礎
障害は障害者にあるのではなく、図書館のサービスにこそある
4-2 合理的配慮の提供の例
4-2-1 全般
4-2-2 視覚障害
4-2-3 聴覚・言語障害
4-2-4 盲ろう
4-2-5 肢体不自由
4-2-6 知的障害
4-2-7 精神障害
4-2-8 発達障害
4-2-9 内部障害、難病等
4-2-10 行政
4-2-11 サービス(買物、飲食店など)
5. 日本図書館協会が関係するガイドラインなど
(1)図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン(2016年3月)
(2)図書館等のためのわかりやすい資料提供ガイドライン(2017年3月発行)
HTML版
(3)図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン(2013年9月2日)
DINF版HTML
(4)録音(DAISY)資料製作に関する全国基準(2011年12月6日)
(5)公共図書館の障害者サービスにおける資料変換に係わる図書館協力者導入のためのガイドライン - 図書館と点訳者・音訳者・対面朗読者、ボランティア等との関係(2005年4月4日)
日本図書館協会障害者サービス委員会では、障害当事者(その家族や支援者を含む)や図書館関係者から、障害のある方が図書館を利用するための配慮やサービス等についてご意見を募集。
募集期間:平成27年9月25日(金曜日)から平成27年12月31日(木曜日)
回答数 44件
ご意見の種類としては「もっとこうしてほしいという配慮、またはあったらよいと思う配慮」が18件と最も多かった。
ガイドラインを活用して、図書館利用に何らかの障害のある人へのサービス・配慮等を行っているかを確認するためのもの。
チェックリストの構成(カテゴリー)
1 運営方針、サービス計画
2 合理的配慮の提供
3 サービスの実施
4 担当職員、研修
5 障害者サービス用資料
6 施設、設備、読書支援機器等
7 広報・ホームページ等
8 開催行事
「図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン」に関して寄せられた質問をQ&A形式にまとめたもの。
ガイドラインQ&Aの構成(カテゴリー)
1 図書館の施設設備に関すること
2 サービスや合理的配慮に関すること
3 資料について
4 その他
9. 具体的な障害者サービス
①障害者サービス資料の購入と受入
②障害者サービス資料の製作
③対面朗読(対面読書)
④相互貸借
⑤閲覧(読書支援機器、障害者サービス用資料)
⑥資料の貸出(来館・郵送・宅配・代理など)
⑦資料の媒体変換(点字印刷・カセットからDAISYに変換・SDカードでの提供など)
⑧墨字・点字・録音図書、字幕入り・手話入り資料、LLブック、大活字本などの情報提供(新刊案内、紙版のリスト作成、ホームページでの公開など)
⑨レファレンス(調査相談)
⑩点訳者・朗読協力者・媒体変換者など図書館協力者への支援
⑪障害者資料展、バリアフリー映画会などの開催
⑫世界人権デー(日本では人権週間)、国際障害者デー(日本では障害者週間)、世界自閉症啓発デーなどでの障害理解に関するイベントの開催
⑬障害者個人や障害者団体、支援学校などを対象とした図書館見学ツアー・ガイドツアーの開催
⑭手話や点字に関するイベント
⑮障害者を対象としたIT講習会や機器利用支援(蔵書検索・サピエ・オンラインデータベースなど)
⑯施設入所者へのサービス、入院患者へのサービス
⑰アクセシブルな図書館ホームページ・広報等
⑱アクセシブルな電子書籍の配信サービス
⑲その他
10. 終わりに
①障害者サービスの積極的なPR(直接PR、間接PR)
②障害者個々人を理解し、適切な支援を行うこと
③全ての図書館院が障害者と障害者サービスを理解すること
④来館サービスだけでなく非来館サービスにも目を向けること
⑤支援学校、障害者関連の施設にも積極的なサービスを試みること
⑥相互貸借を活用して「ありません」「できません」は言わないこと
別紙配布資料
資料2:図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン
資料3:障害のある方が図書館を利用するための配慮やサービス等に関するご意見募集についてのまとめ
資料4:JLA障害者差別解消法ガイドラインを活用した図書館サービスのチェックリスト
資料5:図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関するガイドラインQ&A
資料6:(参考)視覚障害者ガイド研修(「大阪府立中央図書館館内職員研修」及び「OLA障がい者サービス基本(接遇)研修」配布資料)
自己紹介
過去の履歴は視覚障害者の情報環境(2014年6月 講演を参照。
現在の活動:
日本図書館協会 障害者サービス委員会・関西小委員会 委員長
公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)西部支部長
近畿視覚障害者情報サービス研究協議会(近畿視情協)運営委員
日本障害者リハビリテーション協会のパソコンボランティア指導者養成事業「障害者へのICT活用研修会」(通常研修・視覚障害)の講師
視覚障害者のWindows活用ML管理者
サピエと読書なんでもML(愛称:サピ読)管理者
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Facebookグループ「図書館の障害者サービス」
「図書館の利用に障害のある人とは」 山口県立山口図書館 2017年11月24日 13:00-14:30 平成29年度公立図書館職員等専門講習会 第1回 障害者サービス
URL: http://www.j7p.net/ronbun/20171124yamaguchi.html
掲載日:2017年11月24日 最終更新日:2017年11月24日