視覚障害者の情報環境
岸和田市立図書館・岸和田市福祉総合センター 講演レジュメ
2014.6.19
杉田正幸(大阪府立中央図書館 読書支援課 障がい者支援室)
1. 自己紹介
(1)小さい頃から1回目の就職まで:盲学校に通っていたとき本が嫌いだった、てんやく広場(現「サピエ」)との出会い、マッサージ・鍼灸師として整形外科に就職
(2)図書館司書資格の取得と就職活動:情報処理の勉強、近畿大学の通信教育での司書資格の取得、公共図書館での就職を求めて点字受験の実施の嘆願書と要望活動、大阪府立図書館の一般枠司書採用試験の点字受験
(3)図書館に就職しての15年:視覚障害者や盲ろう者へのIT支援、府内市町村図書館や当館朗読協力者への研修・支援、録音図書ネットワーク配信サービス、読み上げソフト対応の蔵書検索ページの作成、IFLA(国際図書館連盟)での「盲ろう者へのパソコン支援」の英語での発表(ノルウェー)、大阪府職員表彰とチャレンジ賞の受賞
(4)仕事以外の活動:日本図書館協会の障害者サービス委員会、TwitterやFacebookでの情報発信、視覚障害者のWindows活用MLの管理、日本障害者リハビリテーション協会のパソコンボランティア指導者養成事業「障害者へのICT活用研修会」(盲ろう者情報支援・視覚障害関連特別研修)の講師
2. 公共図書館の視覚障害者を中心としたサービスについて
(1)資料の製作と購入・受入
(2)対面朗読
(3)相互貸借
(4)貸出、郵送・宅配など
(5)墨字図書・点字図書・録音図書の情報提供
(6)レファレンス(調査相談)
(7)点訳者、朗読協力者への支援
(8)その他:IT支援サービス、バリアフリー映画会の開催など
3. 図書館ネットワーク(データの利用と相互貸借)
(1)サピエ図書館(2014年5月末現在)
- 書誌・総目録数810,086タイトル、完成目録数717,284タイトル
- コンテンツ数(タイトル):点字データ157,324、音声デイジー51,865、テキストデイジー642、マルチメディアデイジー41
- 登録施設・団体数282:点字図書館86、公共図書館104、大学図書館7、盲学校17、ボランティア団体42、その他26
- 大阪府内の公共図書館の中でサピエに加入している図書館(12館):大阪市立中央図書館、豊中市立岡町図書館、池田市立図書館、吹田市立千里山・佐井寺図書館、茨木市立中央図書館、枚方市立中央図書館、大阪府立中央図書館、松原市民図書館、藤井寺市立図書館、河内長野市立図書館、大阪狭山市立図書館、岸和田市立図書館
- 個人会員数12,662名(内B会員数:181名)、B会員を受入れている図書館数82
(2)国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービス(2014年6月17日現在)
- コンテンツ数:音声デイジーデータ1,378タイトル、点字データ26タイトル
- データ送信承認館(34館):大阪府内は池田市立図書館、大阪府立中央図書館、吹田市立千里山・佐井寺図書館、枚方市立中央図書館の4館
- データ提供館(13館):川越市立西図書館、さいたま市立中央図書館、浦安市立中央図書館、千葉県立西部図書館、調布市立中央図書館、町田市立中央図書館、横浜市中央図書館、浜松市立城北図書館、名古屋市鶴舞中央図書館点字文庫、草津市立図書館、大阪府立中央図書館、吹田市立千里山・佐井寺図書館、枚方市立中央図書館
- 個人利用者(国立国会図書館に障害者登録している登録利用者):54名
※「データ送信承認館」は、国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービスで利用可能な国立国会図書館と全国の公共図書館のデイジーデータと点字データを利用することが可能な施設(ダウンロードして貸出、来館した利用者が使うことを想定)。「データ提供館」は、国立国会図書館とデータ提供館が覚え書きを交わし、データ提供館が製作したデイジー図書や点字データを国立国会図書館に提供(CD-ROMなど媒体で貸出)し、国立国会図書館がサーバーに登録し、データ送信サービスにて利用可能とする。6月3日からは国立国会図書館からだけでなく、サピエ図書館からもこれらデータが利用可能。
4. 視覚障害者の情報環境
(1)機器:パソコン、音声読書機、点字ディスプレイ、デイジー再生機、携帯電話、スマートフォン(Android・iOS)
(2)ソフトウェア:スクリーンリーダー「PC-Talker」、読書ソフト「マイブックV」、点訳ソフト「点字編集システム」、画面拡大ソフト「ZoomText」など
5. 電子書籍
(1)ハードウェア:特にiPadやiPhoneが注目
(2)主な音声読み上げに対応した電子書籍サービスと対応アプリ
(3)公共図書館の電子書籍サービス:全国で30館が導入。大阪府内では大阪市立図書館、堺市立図書館、松原市民図書館の3館が導入。視覚障害者に利用できないシステムが多く、現状は問題が多い。
6. 参考ページ
(1)杉田正幸.「視覚障がい者の電子書籍利用の現状について〜iPadやiPhoneでの視覚障がい者の電子書籍アクセスの現状〜」.大阪府内市町村図書館等障がい者サービス研修会.東大阪,大阪府立中央図書館,2013-12-17, 4P.
URL:http://www.j7p.net/ronbun/20131217book.html
(2)国立国会図書館 視覚障害者等用データの収集および送信サービス
URL:http://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/supportvisual-10.html
(3)全国視覚障害者情報提供施設協会 サピエ図書館
URL:http://library.sapie.or.jp/
「視覚障害者の情報環境」 岸和田市立図書館・岸和田市福祉総合センター 2014年06月19日 13:30-14:30 市内サービス利用者とボランティアを対象にした講演会と交流会
URL: http://j7p.net/ronbun/20140619kishiwada.html
掲載日:2014年6月19日 最終更新日:2014年6月19日