「ウェブデザインにおける視覚障害者への配慮」



1.はじめに

ホームページによる情報発信が増えてきたが、障害者がアクセス可能なページが少ないのが現状である。この研修では、障害者に対する支援技術を最初に紹介し、障害者のホームページ利用方法を公共図書館及び点字図書館ホームページを例に紹介する。

その上で、障害者にも利用可能なページを作るための配慮事項や国内外のウェブ・アクセシビリティ規準を紹介する。いくつかのホームページを例に上げ、アクセシビリティ検証ソフトを紹介しながら、それぞれのホームページの問題を明らかにし、改善のための方策を提示する。

  1. 公共図書館蔵書検索リンク集
  2. 点字図書館リンク集

2.視覚障害者用の支援技術

視覚障害者に対しては画面の内容を読み上げる「スクリーン・リーダー」、インターネットの内容を音声で読み上げる「音声ブラウザ」、画面の情報を拡大する「画面拡大ソフト」などがある。特殊なハードとしては、画面情報を1行分点字で出力する「点字ディスプレイ(点字ピンディスプレイ)」があるが、1台50万円程度と高価である。

2.1 スクリーン・リーダー

スクリーン・リーダーは、主に視覚障害者用に開発されたパソコンの画面を音声で読み上げるソフト。文書の本文を読み上げる他、ファイルのオープンやクローズ、メニューやダイアログ項目、アプリケーションが表示するメッセージ、入力内容など、画面上のさまざまな情報を、合成音声で読み上げることができる。スクリーン・リーダーでパソコン画面を全て操作できるのではなく、アプリケーションによっては音声対応出来ないものもある。

  1. 「95Reader Ver.6.0(XP Reader)」
  2. 「JAWS for Windows(IBM Version) Version 4.5」
  3. 「PC-Talker XP」
  4. 「WinVoice Ver.1.0」

2.2 音声ブラウザ

スクリーン・リーダーとインターネットエクスプローラの組み合わせでインターネットの音声読み上げが可能であるが、視覚障害者に使いにくい面も多い。そこで、ウェブでの操作に特化した音声ブラウザがここで紹介するソフトウェアである。音声ブラウザでは、ウェブページ中のテキストや画像などに付けられた代替テキストを音声で読み上げることができる。

  1. 「ホームページ・リーダー Windows版 Ver.3.01」
  2. しゃべるブラウザ「ボイス・サーフィン Ver.2.0」
  3. ALTAIR for Windows

2.3 画面拡大ソフト

弱視や高齢者などで、画面のメニューやボタン、文字を拡大する場合に使用する。背景を黒にして白や黄色で文字を表示する方が見やすい人用に、画面反転機能の付いた製品もある。マイクロソフトのWindowsには標準で簡易画面拡大ツール「拡大鏡」が付属する。

  1. 「ZoomText 8.1 Magnifier」

2.4 ブラウザ関連

  1. らくらくウェブ散策
  2. らくらくブラウザ
  3. ZoomSight

3.ホームページのアクセシビリティの考慮点

3.1アクセシビリティとは?

3.2 国際的な規準

  1. W3C/WAI「ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0」 日本語訳
  2. リハビリテーション法第508条の電子・情報技術アクセシビリティ基準 日本語訳

3.3 首相官邸 IT戦略会議の指針

  1. 首相官邸 IT戦略会議の指針
  2. 解説

3.4 国内の規準

  • 情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス−第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341-3:2004)
  • WebアクセシビリティのJIS規格が公開 (MYCOM PC WEB)
  • ウェブコンテンツJIS(A.A.O.)

    3.5 日本の企業のアクセシビリティ規準

    1. 日本アイ・ビー・エム「Webアクセシビリティ(日本語訳)ガイドライン」
    2. 富士通「ウェブ・アクセシビリティ指針」
    3. 日立製作所「Webユニバーサルデザイン・ガイドライン」
    4. マイクロソフト「Webガイドライン」

    4.ウェブ・アクセシビリティチェック

    ウェブ・アクセシビリティチェックには音声ブラウザを用いて視覚障害者にも同等な情報が伝わるかを確認するのが最も適した方法である。最近では、国内や海外で多くの「ウェブ・アクセシビリティチェックツール」が出ている。しかし、画像に適切な説明がされているかをチェックすることは当然できない訳で、画像にALT属性が入っているかなど機械的な判断しかしないことを注意したい。

    4.1 パソコンにインストールして利用するもの

    1. ウェブヘルパー Ver.1.0/2.0/2.0R
    2. WebInspector Ver.4.0
    3. BFSベーシック
    4. 情報伝達度チェッカーVer.4
    5. Personal i-Checker
    6. LIFT for Macromedia Dreamweaver Ver.2.2 日本語版
    7. ホームページ・ビルダー
    8. Bobby(英語)
    9. ColorAccess

    4.2 ホームページにアクセスして診断できるツール

    1. ウェブヘルパー ASP(A.A.O.バージョン)
    2. ウェブバリアファインダー

    4.3 その他のチェックツール

    1. マイクロソフト インターネットエクスプローラーでの確認
    2. Lynx (by patakuti)
    3. ホームページ・リーダー Ver.3.01 お試し版

    4.4 HTMLの文法をチェックする

    1. W3C MarkUp Validation Service(英語)
    2. Another HTML-lint gateway
    3. W3C CSS検証サービス

    5.まとめ

    1. 障害者が主体的に公共図書館及び点字図書館ホームページを利用し、その問題点を明らかにし、声に出すことの重要性。ホームページでは各種の情報が対象とするユーザーに利用出来るようになっているか?これらの問題をユーザー再度に検証してもらうことが必要である。
    2. 図書館職員、ウェブサイト管理者へのウェブ・アクセシビリティに関する啓発。特に図書館職員の意識の低さとHTMLに関する知識の欠如が問題である。
    3. 障害当事者が図書館でウェブ・アクセシビリティに関わることの必要性。現在、全国の図書館には視覚障害者が多く働いているが、そのほとんどが図書館ホームページ作成に中心的に関わっていない。これらの職員が関わることの意義と今後の障害者雇用の面からも図書館職員に視覚障害者を配置し、ウェブ・アクセシビリティの配慮を仕事と出来るよう、自治体や点字図書館として積極的に取り組む必要があると考える。

    6.参考文献

    6.1 出版物

    ウェブ・アクセシビリティや障害者の情報機器利用に関する参考図書は下記を参照のこと

    書籍紹介

    6.2 雑誌・論文

    省略

    6.3 参考ホームページ

    1. IBM バリアフリーの扉
    2. ZSPC
    3. アクセシブルなウェブをめざす提供者と利用者のための実用サイト(A.A.O.)
    4. こころWeb
    5. ホームページ制作者のためのWebアクセシビリティ解説書(電子情報技術産業協会)
    6. マイクロソフトアクセシビリティホーム
    7. みんなのウェブ:アクセシビリティ実証実験ホームページ
    8. ユーディット
    9. 杉田正幸ホームページ


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    最終更新日:2004年9月16日