平成13年度 図書館・公民館職員等研修会資料

「IT時代の視覚障害者サービス」

兵庫県立図書館主催 2001.11.30

大阪府立中央図書館 司書 杉田正幸

1.視覚障害者サービス

(1)視覚障害者サービス資料: 点字図書、点字絵本、布の絵本、さわる絵本、大活字図書、拡大写本、録音図書、デイジー図書、フロッピーディスク資料、立体コピーやサーモフォーム等の触図資料

(2)視覚障害者サービス: 対面朗読、郵送貸出、宅配サービス、レファレンスサービス、点字・録音・デイジー図書の製作・貸出、プライベートサービス、文字情報サービス(点訳・音訳・墨字訳・拡大訳)、新着図書の情報提供、パソコン利用

2.DAISY(デイジー)

1997年のIFLAコペンハーゲン大会で、DAISYがデジタル録音資料製作システムの国際標準として決定された。1998年10月からはデジタル読書機「プレクストーク」が正式に発売され、各点字図書館・ボランティア団体がDAISYによる録音図書の製作を本格的に開始した。DAISY形式の録音図書の特徴は、検索機能・ジャンプ機能・見出しごとの拾い読み機能が充実していることである。1枚のCDに最大53時間の録音が可能で、これまでのカセットテープによる録音図書製作に変わるシステムとして注目される。公共図書館では、まだ録音資料のデジタル化に着手しているところはほとんどないが、今後、パソコンを利用したデジタル録音図書製作の普及が最大の課題であるといえよう。

(1)DAISY製作ソフト

・Sigtuna DAR 2.0.17J
シグツナ ディーエーアールは音声のみの録音図書を作成するためのオーサリングソフトウェア。DAISYコンソーシアムが提案しているDAISY 2.0の仕様に基づくDAISY録音図書の作成をサポート。障害者の情報アクセスを支援する目的で、かつ非営利活動で用いるために開発し、サポートの責任を負わないことを条件に無償で配布。

・LpStudio Plus 2.7.7(株式会社エルザ)
テキスト、及び、イメージを同期させたマルチメディアコンテンツを作成するためのオーサリングソフトウェア。DAISYコンソーシアムが提案しているDAISY 2.0の仕様に基づくDAISYマルチメディア図書の作成をサポート。\190,000

・MyStudio PC
視覚障害者にも操作可能なように音声ガイドの付いたDAISY作成ソフト。DAISYコンソーシアムが提案しているDAISY 2.0の仕様に基づくDAISY録音図書の作成をサポート。現在、開発中で、近日中にベータ版が公開予定。

(2)DAISY再生ソフト

・LpPlayer(日本障害者リハビリテーション協会)
(http://www.normanet.ne.jp/~daisy/lpplayer/lpplayer.htm)

・Seed(今村竹志)
(http://saga.cool.ne.jp/daisyj)

・Playback2000(英語版)
(http://www.tpb.se/english/daisy/orderp2k.htm)

(3)DAISY再生用機器

・プレクストーク(プレクスター)
(http://www.plextor.co.jp/products/plextalk01.html) ・ビクタリーダー(メルコム) (http://www3.ocn.ne.jp/%7Emelcom/vreader.htm)

3.視覚障害者サービスのレファレンスツール

(1)ないーぶネット

(http://www.naiiv.gr.jp/)

1988年にパソコン通信点訳ネットワークとしてスタートした「てんやく広場」現「ナイーブネット」)は、元々は日本IBMの社会貢献活動としての点訳ネットワーク。現在は、非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)の運営主体に入り、40,000件の電子化された点訳データの蓄積と280,000件の「点字図書・録音図書全国総合目録(AB01)」の提供が行われている。このネットワークを通じて他館が所蔵する点字図書・録音図書・DAISY図書の相互貸借がオンライン上でできるのが特徴である。全国の点字図書館や一部の大学図書館が加盟している他、公共図書館では、都立中央・都立多摩・岐阜県・大阪府の都県立図書館、全国21市区立図書館がこのネットワークを利用しており、自館の障害者サービスに利用している。このネットワークは自館では作成困難な点訳図書をネットワーク上で利用できることが大きな特徴であり、今後多くの公共図書館が参加することによりさらにデジタル化された点字データの普及が進むと期待する。公共図書館の利用には年額6万円が必要。

(2)盲学校点字情報ネットワーク

(http://www.tenji.ne.jp/)

全国の盲学校の点字図書・教材などの点字情報を集積し、各盲学校でダウンロードして利用できるシステム。ないーぶネットの点字データもダウンロード可能。

(3)国立国会図書館「NDL CD-ROM Line点字図書・録音図書全国総合目録」

全国の点字図書館と公共図書館などが製作した点字図書・録音図書・DAISY図書のCD-ROM版目録。年2回発行。初年度は、検索ソフトの利用料\20,000、データ使用料\40,000、2年度目からは、データ使用料\40,000。

(4)日本点字図書館ホームページ「点字図書・録音図書全国総合目録」

(http://www.nittento.or.jp/)

日本点字図書館の蔵書検索と国立国会図書館の「点字図書・録音図書全国総合目録」の検索が可能。

(5)国立国会図書館「全国の点字図書・録音図書製作速報」

(http://www.ndl.go.jp/service/sikaku_service.html)

「点字図書・録音図書全国総合目録データベース」編集中の速報データで月毎に追加、半年毎にCD-ROMに収録。

(6)「デイジー録音図書目録」(日本障害者リハビリテーション協会)

(http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/)

DAISY形式の図書2580タイトルの冊子体目録。墨字版(全2巻)とDAISY版(1枚)がある。平成11年度に行われた厚生省委託DAISY録音図書変換事業による。全国の都道府県、市区町村立図書館、点字図書館、大学図書館などに目録がある。

(7)点字雑誌・録音雑誌一覧

(https://www.naiiv.gr.jp/naiiv_users_htm_file/index.htm)

全国の点字図書館や公共図書館、ボランティア団体の製作した点字雑誌145タイトル、録音雑誌461タイトルの詳細情報。

(8)近畿視覚障害者情報サービス研究協議会(近畿視情協)ホームページ

(http://www.ichigo.sakura.ne.jp/~kinnki/menu/)

近畿地区の点字図書館、公共図書館53館が加盟。各図書館の点字図書・録音図書着手、完成情報を掲載。

4.IT時代の視覚障害者サービスのパソコンとソフト

(詳しくは別紙参照)

(1)パソコン本体(Windows98,Me)
・6点入力可能な機種、複数音源同時再生可能なもの等

(2)周辺機器
・スキャナー: 活字文書読み取り、点字文書読み取り
・点字ピンディスプレイ: パソコン画面を1行分点字で出力。

(3)画面読み上げソフト

(4)画面拡大ソフト

(5)音声ワープロ、市販ワープロ、エディタ等文書作成ツール

(6)音声読書、活字読み上げソフト(OCR)

(7)点字読み取りソフト

(8)ホームページ読み上げソフト

(9)点訳ソフト、自動点訳ソフト

(10)音声対応のメールソフト

(11)CD-ROM検索(辞書、百科事典、蔵書目録)

(12)DAISY再生用ソフト

5.ユニバーサルデザイン

(1)施設

(2)サービス

(3)ホームページ



Copyright(C)2004 杉田 正幸(Masayuki Sugita)
最終更新日:2004年7月30日