卒業研究中間発表


平成10年度卒業研究中間発表


            1998年12月 9日
                   杉田正幸

 研究テーマ: 「公共図書館インターネット蔵書検索(WebOPAC)利用の現状と問題点」

  • 目次
  • 1.研究の背景
  • 2.視覚障害者のWeb利用手段
  • 3.研究の内容
  • 4.文献調査
  • 5.OPAC調査
  • 6.アンケート調査
  • 7.その他の調査
  • 8.今後の研究予定
  • 引用文献
        1.研究の背景
     近年、多くの公共図書館・大学図書館がインターネット上で情報提供を開始し、その一つとしてインターネットを利用した蔵書検索Web OPAC(Online Public Access Catalog)の提供が開始された。これは、家庭に居ながら公共図書館のオンライン利用者用目録(オンライン閲覧目録)の検索がリアルタイムでできるものである1)。視覚障害者もパソコンの画面音声化ソフトとWebブラウザを利用し、多くの図書館情報(OPACを含む)にアクセスが可能となった2)。
     しかし、最近のWebの発展は視覚障害者にかならずしも利用しやすいものばかりではない。Web OPACの一部には音声化ソフトでは対応できないものもあり、折角の貴重な情報源にアクセスできない場合がある3)。
     そこで、本研究では都県立図書館に限定し、Web OPACの現状と問題点を考える。

        2.視覚障害者のWeb利用手段
     現在、視覚障害者の主なWeb利用手段として用いられるものには、
     1.Windows用ブラウザ
     (1)ホームページ・リーダー(鞄本アイ・ビー・エム)
     (2)眼の助(がんのすけ)(兜x士通東北海道システムエンジニアリング)
     (3)VoiceExplorer98(大阪府立盲学校情報処理科横田陽)
     2.テキストブラウザ
     (1)LYNX
     (2)LOUK(渡辺誠)
     (3)VoiceNET(潟Vステムクリエイト)
     (4)VEGA(潟Aメディア)
     (5)BiglobeやAsahi Netなどのパソコン通信系テキスト表示サービス
     (6)福島盲学校や山梨大学などが提供するLYNX MAILサービス

        3.研究の内容
     (1)公共図書館Web OPACについて文献などから調査を行い、現状と問題点を明らかにする。
     (2)全国の10都県立公共図書館のWeb OPACを上記のブラウザを用い、視覚障害者に利用してもらい、それぞれのよい点・問題点などを明らかにする。
     (3)晴眼者にも同様の調査を行い視覚障害者との違いを明らかにする。
     (4)その上で、全ての人が利用しやすいWeb OPACについて考察する。

        4.文献調査
     以下の文献からWeb OPAC(特に公共図書館)に関する調査を実施。
     (1)現代の図書館(日本図書館協会)
     (2)図書館学会年報(日本図書館学会)
     (3)図書館界(日本図書館研究会)
     (4)図書館雑誌(日本図書館協会)
     (5)図書館情報大学卒業研究抄録(図書館情報大学)
     (6)図書館年間(日本図書館協会)
     (7)みんなの図書館(図書館問題研究会)

        5.OPAC調査
     東京都立中央図書館を例とし、実際の利用者用端末(OPAC)とWeb OPACの詳細を調査した。Webの場合、データの遡及入力や逐次入力が行われない、所蔵や貸出状況、返却予定が確認できないなどの問題が多く挙げられる。Web OPACは開始してから8ヶ月、まだまだ図書館にあるOPACの機能を有するまでには時間がかかるとの結論を得た。
     その他の9県立図書館についてはWeb OPACをホームページ・リーダーなどのブラウザで調査。2県立図書館ではJAVA Scriptが使われていて、ホームページ・リーダーやパソコン通信系テキスト表示サービスでは利用できなかった。また、公共図書館ホームページにフレームが使われており、パソコン通信系テキスト表示サービスでは検索画面まで到達することすら不可能であった。

        6.アンケート調査
     1998年9月より、ホームページ上(http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/stu/962304sm/sotsuken.html)で卒業研究に関する内容を公開。研究の概要と公共図書館蔵書検索利用結果アンケートへのご協力のお願い、都県立公共図書館へのリンク集と蔵書検索ページへのリンク集の作成、アンケートの回答ページを作成した。視覚障害者や晴眼者にWeb OPACの利用を行ってもらい、電子メールまたはアンケート入力フォーム記述方式で回答を収集し、現在継続中である。
     *アンケート調査内容は別紙の資料参照。

        7.その他の調査
     (1)インターネット上で公共図書館Web OPACに関する調査。
     (2)Nifty−Serve図書館フォーラム(Go FLIBRARY)の電子会議MES2:公共図書館、MES8:目録・MARC・システム、MES9:電子図書館などからWeb OPACに関する情報収集と調査。

        8.今後の研究予定
     (1)全国10都県立図書館のWeb OPACの評価
     (2)都県立公共図書館蔵書検索利用アンケートの集計
     (3)視覚障害者の利用しやすいWeb OPACの提示
     (4)効率的Web OPAC検索技術の提示

        引用文献
     1.日本図書館協会.図書館用語集.日本図書館協会 (1996)
     2.杉田正幸.つくば市立中央図書館アルスでの図書館実習を経験して.みんなの図書館.No.252, p.38-43 (1998)
     3.杉田正幸.Windowsでインターネット.点字サイエンス.Vol.16, No.4, p.5-12 (1998)

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    Last Update: 05/May/1999