長谷川貞夫@東京都練馬区です。 複数ml投稿で、また長文でご迷惑かと思いますが、不要な方は読み飛ばして 下さい。 (以下は転載自由です。) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【昭和56年12月19日がパソコンを用い点字キーで日本語を書いた日】 「視覚障害者における日本語の漢字入力事始めからテレサポートまで」 長谷川貞夫 E-mail: pbb00564@nifty.ne.jp テレサポートNET http://www5d.biglobe.ne.jp/~sptnet/ (3/3) パソコンにおける日本語ワープロのプログラムを、誰が引き受けたか というと、富士通系の会社であったパナファコムの技術者、 佐藤亮(あきら)氏であった。 彼は、会社でC160というワークステーションを開発していた。 だから、技術には信頼が置けた。 私は、7年前の汎用コンピュータ時代にも、良いプログラマーの協力が 得られたが、パソコン時代のプログラマーにも恵まれたのである。 学校の夏休みの最中に、まず、FM−8の入手に備えて、佐藤氏と 点字キーボードの設計と製作に入った。 このパソコンと直接つなぐ点字キーボードは、今のA4サイズの ノートパソコンを2倍ほど厚くしたような大きさだった。 六個の点字キーと2個のスペースキーがついていた。 そのほか、別に両手の親指で操作する6個の特殊キーがあり、 点字2マスをワンタッチで入力できるようになっていた。 しかし、これは操作が複雑になるのでこの使い方を人には教えなかった。 パソコン本体と点字キーボードを、RS232Cで接続するようにした。 この点字キーボードが、日本でコンピュータと点字キーを直接につないだ 最初のものであったと私は思っている。 FM−8、2セットが手に入ると、私はその1セットを佐藤氏に預けた。 彼は、点字キーボードの製作を既に始めていた。 そして、彼は会社が終わってから、パナファコムの寮でプログラミングと 六点漢字のコーディングもしてくれていた。 昭和56年12月の学校が冬休みになる直前であった。 電話連絡の後、佐藤氏が、附属盲学校へ点字キーによる 日本語ワープロのプログラムの入ったバブルカセットを持って来た。 そして、学校の放送室に置いてあったもう1台のFM−8に取りつけた。 その後、簡単なキー操作でプログラムを呼び出すと、 ほぼ数秒後「ピーッ」という長目の音でロードの完了を知らせた。 その速さに私は感心した。 そして早速、私は彼が作った点字キーボードで、六点漢字を使い、私と 佐藤氏の名前を書き、印刷のためにFM−8のファンクションキーを押した。 プリンターが軽やかに動き出し、そして、今のプリンターに比べれば、 ゆっくりと、ゆっくりとワイヤードットの音を響かせながら、初めての印刷を 開始した。 印刷は、画面の文字数とは関係なく、1画面の印刷に3分程度を要した。 ちょうど7年前の同じ12月に、自宅で作った点字キーによる紙テープの データで、国会図書館の電子計算機室において初めて通常の文字が書けた。 今度は机の上の自分のパソコンを用い、それも、 自分が作った六点漢字体系で、点字キーを押し、通常の文字が印刷できる ようになったのである。 これこそが私の目的だった。 前は、家で紙テープデータを作って、国会図書館の電子計算機室まで 持って行かなければならなかった。 しかし、これからは、点字のキーを押して、すぐに自分の机の上で日本語が 印刷できるようになったのである。 この相違は実に大きいものである。 この後、すぐに私は一人でも多くの人に、 この点字キーによる日本語ワープロを体験してもらうように努めた。 そして、この視覚障害者用ワープロが、やがて高知システム開発、 ニューブレイルシステム、吉泉豊晴氏らの各種ソフト開発へとつながった。 あれから21年を経た今は、フルキーのローマ字入力や点字キーで 視覚障害者による日本語入力が便利に行なわれている。 そして、IT時代となり、インターネットなども利用されている。 しかし、多用されている図や写真を視覚障害者にはそのままでは理解できない。 かつて点字の漢字で日本語ワープロにおける漢字の問題を一時的に克服した ように、当分の間は、視覚障害者にとって、テレサポートが図や写真を克服する 有効な手段であると考える。 (以上)
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