大阪府立中央図書館司書
視覚障害者の杉田さん採用

 大阪府立中央図書館(東大阪市)の司書に視覚障害を持つ杉田正幸さん(29)−−埼玉県出身−−が採用され3日、大阪府教委で辞令交付を受けた。杉田さんは今年に入って行われた府立図書館司書の採用試験で約60倍の難関を突破した。府教委などによると都道府県立図書館の司書として働く視覚障害者は東京、埼玉、千葉で5人いるが西日本では初めて。特別枠ではない一般試験による採用は極めて珍しいという。

 杉田さんは生まれつき視力が弱く、中学校入学後は完全に視力を失った。指圧や針、灸師の資格を取り、平成5年から埼玉県羽生市の病院で働いていたが、音声機能を備えたパソコンの普及で情報処理技術に興味を持ち、8年に筑波技術短大に入学。さらに、本が好きだったことから、近畿大学の通信教育を利用して11年3月に司書の資格を拾得した。資格を取るための実習では、受け持った書架数台の本の並びはすべて覚えていたという。

 杉田さんは「障害者のためのサービスだけではなく、得意のパソコンを生かしていろいろな仕事をしてみたい。子供たちに絵本を読み聞かすのも楽しみ」と夢いっぱいの様子だった。 (産経新聞大阪夕刊、2000年4月3日、10頁)


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最終更新日:2004年7月30日